【夢猫の魔法】3

第3章 マジックワールド

「ん…。」
 
知香は目が覚めた。
 
「ここは…?」
 
知香は起き上がった。
 
周りの人がクスクス笑っている。
 
「な…。なんなの?」
 
知香は立ち上がり、周りを見渡した。
 
「どこだろう…。ここ。」
 
「ここはマジックワールド。」
 
「だっ…。誰っ!?」
 
知香は後ろを振り返った。
 
すると、後ろには黒い猫がいた。
 
「まさか…。猫がね…。ハハ…。」
 
知香は歩き始めた。
 
「待て。」
 
また、後ろから声が聞こえてきた。
 
しかし、知香の後ろには猫しかいない。
 
「あんた、しゃべれるの?」
 
知香は猫に問いかけた。
 
「そうだニャ。」
 
「なによ。その『ニャ』は…。それより、ここどこなの?」
 
「さっきも言ったが、ここは『マジックワールド』だニャ。」
 
「じゃあ、これたんだ…。」
 
「お前はここに、ニャに(何)をしにきた?」
 
「人生を変えにきたの!」
 
「馬鹿かお前は、ここは『ドリームワールド』の日本みたいに、平和じゃニャい(ない)んだぞ!」
 
「『ドリームワールド』って?」
 

「お前が住んでいる世界だニャ。ドリームワールドとは夢の世界。マジックワールドとは魔法の世界。お互いの世界は『マジックゲート』というものでつながっている。しかし、ドリームワールドの何処へ行っても、マジックワールドには行けないし、もちろん、マジックワールドの何処へ行っても、ドリームワールドへ行けニャいんだニャ。つまり、ドリームワールドとマジックワールドは近い世界でもあり、遠い世界でもある。」

 「まぁ。いまいちよく分からないけどいっか。」

「馬鹿なやつだニャ。お前と相手してると疲れるニャ。」

猫は近くの家の屋根に乗って何処かへ行ってしまった。

「あっ…!ちょっと、待って!」

知香はなんだか不思議な気持ちだった。
 
すると、どこからか太った男性が走ってきた。
 
「き…君はあの伝説の賢者の『カリー』だよね?」

「かっ…?カレー?伝説のカレーですか?」

「カリーだよ!カリー!!」

太った男性が大きな声で言った瞬間、周りの人が一斉に知香を囲んだ。

「え!?カリーなの!?」

「カリー!サインしてくれ!」

「カリー!私にも!」

十数人の人達が知香を囲み、サインを求める。

「わ…。私は…!」

知香が小さい声で否定しようとするが、周りの人には聞こえていない。

「…!私はカレーじゃない!ちゃんと、した人なの!『森中 知香』というちゃんとした名前があるの!」

「…。」

静かになった。

「本当に君はカリーじゃ…

「ちがうわ!このデブ!」

太った男性の声にかぶった。

「…。」

「あの…。なんかすいません…。」

「…?」

「さようなら!」

知香は逃げた。

2

知香ははしっているとさっきの猫が追いかけてきた。

「待て!待つニャ!」

「誰に言ってるのかな〜?独り言かな?まあ変わった猫!」

知香は走りながら言う。

「お前だニャ!いいから待つニャ!」

「お前って誰〜?私、『お前』って名前じゃなから、私じゃないな〜。」

「お前ってのは、森中 知香!だから止まれ!」

知香は立ち止まった。その足に猫は頭をぶつけた。

「ゔニャ!?」

「あ、ごめん!猫ちゃん!」

知香は後ろを振り返った。

「俺は『猫ちゃん』じゃニャいニャ!」

「じゃあ…。猫くん?」

「お前、頭おかしいのか?」

「う〜ん…。そんなことないよ!」

「自覚無しか…。まあそんニャことよりお前なんか忘れてニャいか?」

「ん…?なんかって?デブおっさんを放って行ったこと?」

「あ…。ああ…。」

「そんなことより、猫くん。君の名前は?」

「俺のニャまえ(名前)か…?」

「うん!」

「俺は…。俺は…。『トリスタ』だニャ。」

「『トリスタ』?猫なのに?

「なんか悪いか。」

「べっつに〜。いいんじゃない?名前があるんだし。」

「…。」

トリスタはぼーっとしていた。

「どうしたの?」

「いや、ニャんでもニャいニャ!」

そのとき、さっきの太ったおじさんが走ってきた。

「ハァ…。ハァ…。知香ちゃ…。ハァ…。たび…。ハァ…。」

「だっ…!大丈夫ですか!?」

「た…。び…。に…。」

「と…。とりあえず、落ち着いてください。」

「…。ふうー!もう大丈夫だよ!」

「はっ…。はい…。」

「ところで、知香ちゃん。旅に興味はないかい?」

「旅?」

「そう!旅!旅人になってよ知香ちゃん!」

「ど…。どうしてですか?」

「話かわるけど、君って、なんでこのマジックワールドへきたの?」

「あれ?私がドリームワールドからきたこと、知ってるんですか?」

「だって変わった名前じゃん?」

「こいつ殺す…」知香はそう思っていた。

「私は…。」

太ったおじさんは首を傾げた。

「…。」

「知香ちゃん。無理に言わなくてもいいんだよ。ごめんね。」

「いや、いいんですよ。それより、旅人ってどうやったらなれるんですか?」

「旅人になるには称号を持たなくてはならない。」

「称号?」

「そう、称号。称号には種類があるんだ。『魔法使い』『剣士』『狩人』『魔物使い』『手品師』『超能力者』『素手者』『シールド』など、たくさんあるんだよ。」

「へー!」

「さらに、称号は進化するんだ。『魔法使い』は『賢者』になるんだ。『剣士』は『勇者』『狩人』は『レンジャー』『魔物使い』は『モンスターマスター』『手品師』は『マジシャン』『超能力者』は『エスパー』『素手者』は『格闘家』『シールド』は『パラディン』になるんだよ!」

「すごい!すごい!」

「どう?なってみないかい?」

「はい!でも、どうやって…?」

「ここの城の王様に希望する称号を言えばその称号について教えてくれるよ。」

「何日ぐらい掛かりますか?」

「大丈夫!数時間で終わるよ!」

「…。やります!城へ案内してください!」

「いいよ!僕についてきてね。」

「ほら、トリスタを行くよ!」

「あ…。俺は…。」

「いいから、来て!ほら!」

知香はトリスタを連れて、歩き始めた。


続く