【夢猫の魔法】1

1プロローグ

「ねぇ。知香。」

「なあに?おばちゃん」

知香は幸子(知香の祖母)と話していた。

「マジックワールドって知ってる?」

「なにそれ~。聞いたことないや。でなんなの?『マジックワールド』っていうのは。」

「それはね…不思議な世界なの」

幸子は目をつぶり、話し始めた。

「妖精や魔物。悪魔。魔法…。ここでは、ありえないものが存在している世界。」

「ふ~ん。どうせおとぎ話かなんかでしょ。」

「やだねぇ~。知香はお婆ちゃんを疑うのかい?」

「うん。お婆ちゃんは嘘ついていると思う。まず、証拠がないの!『証拠』が!」

「証拠なら、あるよ。」

幸子は得意気に言った。

「なによ。証拠って。」

「お婆ちゃんが『マジックワールド』に行ったてことさ。」

「その証拠も嘘なんでしょ。」

「ふふふ…。」

幸子は立って引き出しから、丸まった紙を出した。

「見てごらん。」

幸子は紙を広げた。

その紙はとても古そうで今にも破れそうだった。

「なにこれ?」

「これは地図だよ。『マジックワールド』の。」

「ふ~ん…。 これ本物?」

「うん。」

「絶対?」

「うん。」

「じゃあ、信じる。」

「えらい子。えらい子。」

幸子は知香の頭をなでた。

「ねぇ。お婆ちゃん。」

「ん?」

「その『マジックワールド』はどうやったら行けるの?」

「それはね…。」

幸子は黙り込んだ。」

「お婆ちゃん?」

「な~いしょ!」

幸子は大きな声で言った。

その声で知香は驚いた。

「え~。教えてよ~。」

「う~ん。じゃあ知香が12歳になったら教えてあげる。」

「え~と…。それじゃあ…。」

知香は指であと何年になるか数えた。

「あと6年もかかるじゃん!」

「ふふふ…。それまで楽しみにしときな。」

「うん。わかった!」

知香は大きな声で言った。



                     続く